グリップの長さが可変式になるグリップ製作方法(ベイト編)
グリップの長さが可変式になるグリップ製作方法(ベイト編)
最近では、一つの釣種にこだわらず、様々な魚種を狙い、様々なフィールドに出掛けているアングラーが増えているように思います。
ロッドとグリップは一体。
今までは当たり前の釣竿としての姿も、多様化しているアングラーにはマッチしない釣り道具になってきているとヒトトキワークスは考えています。
ロッド、そしてグリップの長さがあの釣り・あのエリアに合わせてワンタッチで可変式に変えることができたら、ワクワクしませんか?
遊び心あるアクティブなアングラーにぴったりなヒトトキワークス考案の夢のグリップ製作方法をご紹介します♪
グリップジョイントシステム
まずは、ロッドを脱着可能にする「グリップジョイントシステム」の説明から。
チャンピオンフェルール呼ばれるアルミフェルールが取り付けられたロッドを、固定することができるシステム。
ウッドリールシートや一般的な富士工業の樹脂製リールシートのフロンとグリップとして、取り付けることでロッドをワンタッチで脱着可能にすることができます。
詳しくはグリップジョイントシステムのページをご覧ください。
今回製作するグリップ
今回製作するハンドルは、ヒトトキワークスのショップでは「カメレオンハンドル」という商品名で販売している商品です。
その名の通り、カメレオンのように状況に応じて変幻自在にスタイルを変更できるハンドルです。
今回使用した部材
シルバータイプのキャップもありますが、落ち着いていて、仕上がりが露骨で男らしいイメージになるブラックを使用しました。
●ベイトリールシート(SKTC-16)
ヒトトキワークスの職人が仕上げたパープルのバースト塗装仕様のリールシートを使用しました。
グリップジョイントシステムのカラーに合わせてブラックで統一感を。
●ワインディングチェック WC(S16-DR)
●リアグリップ(CTVSG16-15)・エンドグリップ(C27SG-13)
今回はコルクで統一し、上品なグリップを製作してみます!
エンドグリップは長さの異なる2種類を作るために、写真手前のオス用パイプを2種類用意しました。
- ●エンドパーツ(バットエンドキャップ)
今回はラバーコルク仕様で仕上げてみます♪
必要な工具
●カッター(デザインナイフ)
樹脂部材をカットした後のバリ取りに使用します。
●ノギス
デジタルタイプの方がすぐに計測出来て使いやすいです。
●ルーター
ダイアモンドカッターを取り付ければ、カーボンパイプのカットがメチャクチャ楽!!
5分後に効果が始まる強力なボンド。
不慣れな方は30分後に効果が始まる「30分型」を使用して、ゆっくり作業されるほうが失敗が少なくなりますよ。
●アルコール
はみ出た接着剤をふき取るために使用します。
薬局で売られている「燃料用アルコール」を、ヒトトキワークスでは、塗装などを傷めないように水で半分に薄めて使用しています。
●ハンディーソー
樹脂製パイプをカットするために使用します。
●棒やすり
接着強度を増すために、カーボンパイプの内側を傷つける際に使用します。
●スペーサーテープ
隙間の空いた部材を接着する際、隙間埋めの役割を果たすテープ。
●マスキングテープ
部材をカットする際のマーキングに使用します。
ヒトトキワークスでは、テープ台にセットしてカットしやすくしています。このやり方お勧め!
●爪楊枝
ワインディングチェック取付の際の細かい箇所や、部材の内側にエポキシボンドを塗布する際に使用します。
●ペーパーやすり
#400番クラス辺りのペーパーやすりが使いやすいです。
手順1 フード部分の加工
リールを固定するためのフードナット部分の部品を組み立てていきます。
まずは、フードナットに取り付けるアルミパーツの接着部分をノギスで計測します。
接着面は約5ミリのため、フードパイプが5ミリになるようカットします。
■ワンポイントアドバイス
5ミリピッタリの位置に、マスキングテープで印をつけるのではなく、刃物の厚さ1ミリほど余分にとり、6ミリ残るようにマスキングテープで印をして、ハンディーソーでカットしてください。
フードナットのカットが完了しましたが、この時点では断面も汚く、バリも出ています。
カッターやペーパーもあればペーパーも使用し、カットした断面を綺麗にします。
この作業を怠ると、バリが干渉し、リールシートを傷つけてしまいますので注意です!!
フードパイプとアルミリングとの間に若干の隙間が生じるため、スペーサーテープで隙間を埋めます。
2液性エポキシボンドを1対1の割合で、主剤・硬化剤をしっかり混ぜ合わせて部材に塗布していきます。
はみ出たボンドは、アルコールを含ませたティッシュで綺麗にふき取ろう。
手順2 リールシートスクリューのカット
リールシート本体のスクリューも、露出させすぎると少しダサい。
カッコよくするために無駄な部分をなくしてしまおう!
フードナット同様にハンドソーでカットし、断面を綺麗にします。
38ミリ弱にしてみました。
スクリューにフードをかぶせると、ほぼピッタリになりスタイリッシュになりました。
手順3 リールシートの接着
外径15ミリのメス用カーボンパイプにリールシートとアルミリングを接着していきます。
まずは、リールシートとカーボンパイプに若干の隙間があるため、スペーサーテープで隙間をなくします。
フードナットのアルミリング接着時と同じように、2液性エポキシボンドを1対1の割合で、主剤・硬化剤をしっかり混ぜ合わせて部材に塗布していきます。
■ワンポイントアドバイス
接着作業の際は、カーボンパイプだけに接着剤を塗布するのでなく、リールシート内側にも爪楊枝などの細い棒状のもので、接着剤を塗布したほうが接着不良を起こしにくくなります。
フードナットは、邪魔になるので一度外し、リールシート先端は8ミリほどはみ出した状態で接着します。
同時に爪楊枝の先で少量のエポキシボンドを塗布し、スクリューの上下にワインディングチェックを取り付けます。
はみ出た接着剤は、アルコールを含ませたティッシュで、ひたすら綺麗に拭き取ります。
スクリューの端から34ミリの隙間を空けてトリガー部分も接着し、同時に爪楊枝の先で少量のエポキシボンドを塗布し、ワインディングチェックを取り付けます。
カーボンの露出部は、約30mmになります。
これでリールシートの接着は完了です!!
手順4 グリップジョイントシステムの取付
グリップジョイントシステムの受け側パーツとワインディングチェックを取り付ける前に、接着強度を上げるため、カーボンパイプの内側を傷つけます。
棒やすり等でしっかりと傷つけてください。
足付け作業が完了したら、アルコールで綺麗にしてから接着剤を塗布します。
グリップジョイントシステム側だけでなく、カーボンパイプ内側にも接着剤を塗布します。
接着剤を塗布したグリップジョイントシステムの受け側パーツと、ワインディングチェックを差し込みます。
はみ出た接着剤を綺麗に拭き取ります。
接着剤が硬化するのをしばし待ったら、完成!!
段々とグリップの姿に近づいてきましたね。
手順5 リアグリップとワインディングチェックの取付
ここまできたら、残すはそこまで難しくない単純作業のみです。
それでは行きましょう!!
まずは、リアグリップとワインディングチェックの長さ分を残すために計測して、マスキングテープで印をつけます。
ルーターでカーボンパイプをカットし、カットした断面を、ペーパーやすりで綺麗にします。
この時、断面だけでなく角(外側・内側も両方)もRをつけてあげるようにペーパーで加工してください。
カーボンパイプの表面を荒らした後、エポキシボンドを、カーボンパイプ、グリップの内側に塗布し、はみ出た接着剤は綺麗に拭き取ります。
ベースとなるグリップが完成です!!
手順6 エンドグリップの製作
最後の工程です!!
ベースとなるグリップに差し込んで脱着可能にするエンドグリップを2種類作ります。
まずは、外径13ミリのオス用カーボンパイプを好きな長さでカットします。
今回は渓流に使用できるショートタイプの全長100ミリとバスや本流トラウトなど様々な釣りに使用できる140ミリでカットしました。
エポキシボンドでワインディングチェックとエンドグリップを接着します。
残すは、バットエンドを取り付けて終了です。
バットエンドのシャフトとカーボンパイプの内径に隙間が生じるため、スペーサーテープで隙間をなくします。
カーボンパイプの内側にもしっかりとボンドを塗布し、硬化したら完成です!!!!!!!!
完成
●ショートタイプのエンドグリップ仕様
グリップ全長は、273ミリになりました。
●ミドルタイプのエンドグリップ仕様
グリップ全体の全長は、317ミリになりました。
ロッドを差し替えられるだけでなく、グリップの長さも可変式にできるグリップの完成です。
是非チャレンジしてみて下さい。
既製品ロッドをフェルール化する場合は、こちらの動画で製作方法をご紹介されていますので、参考にしてください。