渓流用グラスロッドの自作方法
グラスソリッドでトラウトロッドを製作
ロッドとグリップが脱着式のトラウトロッドやロッドビルディングパーツを展開するメーカー、ヒトトキワークスの上村(カミムラ)です!
今日は、グラスソリッド(無垢素材)を使用したトラウトロッドの製作方法をご紹介します。
まずは、グラスロッドのメリット・デメリットをヒトトキワークス的に解説します。
グラスロッドのメリットは?
●安価で購入可能
ここ最近は釣り以外のマーケットで世界的にグラス素材の徐陽が高まり、価格が高騰してしまっています・・・。
ヒトトキワークスでは、渓流専用設計の自作用グラスソリッドを開発し販売を開始しました。
なんと価格は1,900円(税抜)!
https://hitotokiworks.com/apps/note/products/%e8%87%aa%e4%bd%9c%e7%94%a8%e6%b8%93%e6%b5%81%e3%83%ab%e3%82%a2%e3%83%bc%e5%b0%82%e7%94%a8%e3%82%b0%e3%83%a9%e3%82%b9%e3%82%bd%e3%83%aa%e3%83%83%e3%83%89%e3%80%801000%ef%bd%8d%ef%bd%8d/
カーボン製のブランクだと1万円以上してしまうため、このメリットは非常に大きいですね。
●魚を掛けると大きく曲がるため楽しい
グラスソリッドと言ったら、掛けてから楽しむロッド。
とにかくしなやかで反発力がないために、大きく曲がります。
とにかく曲がってくれるため魚とのファイトが非常に楽しくなります。
●軽いルアーが投げやすい
ロッドを振ると、ロッドがしなやかでさらに自重が重いので、その自重だけでロッドが曲がってくれます。
そのため、ルアーの自重に関係なくロッドが曲がるため軽いルアーでもキャストが可能です。
管理釣り場用のエリアロッドが非常に柔らかいように、1gのルアーでも簡単にキャンストが可能になります。
●ばれにくい
グラス素材=弾性の低い(戻る力が弱い)特性があるため、魚のファイトの衝撃を吸収しやすく、魚も暴れにくくなります。
なぜ、掛かった魚が暴れにくくなるかというと、魚は引っ張られた方向の逆側に逃げる習性があります。
どんな生き物も一緒かもしれませんが・・・( ;∀;)
なので、磯釣りではレバーブレーキリールというリールが存在し、魚への負荷を0にして魚の引きを止めてやり取りする方法が存在します。
ロッドが固ければ魚は暴れやすくなり、ロッドが柔らかければ魚も暴れにくくなるんです。
個人的には、グラスロッドの最大のメリットはこの【バレにくさ】だと思っております。
●折れにくい
薄い繊維質なカーボン素材は、傷に弱い特性があります。
グラス素材は傷に強く、特にソリッド(無垢)タイプは、少しの傷が入っても強度が変わらないほど傷に強い。
ソリッドタイプは限界強度もあるため、無茶な使い方をしてもよほど折れることはありません。
グラスロッドのデメリットは?
●自重が重い
カーボン素材と比べ、自重が重くなります。
自重が重いことで、キャストやルアーアクションを繰り返す渓流ルアーフィッシングには、手首への負担が掛かります。
手首への負担を減らすためには、全長を短くすることである程度解決できます( `ー´)ノ
全長4フィート以下であれば、ほとんどストレスなく釣りができます。
●フッキングが決まりにくい
グラスロッドは、フッキングパワーすらも吸収してしまうために、魚までフッキングパワーが伝わらずフッキングまで持ち込めないことも・・・。
グラスロッドを使用する際は、伸びの少ない【PEライン】を使用することをおススメします!
フックも細軸にするとなお良しです( `ー´)ノ
細軸フックだと大型の魚が掛かった時に、心配になるのかもしれませんがグラス特有のしなやかさにより、フックが伸ばされる心配も少ないですよ!
●感度が悪い
ショックを吸収してしまう=振動も吸収してしまい、振動が手元まで伝わりにくく感度が悪くなります。
ルアーの動きをしっかり感じ取って、アクションをさせるのは非常に難しいです。
●飛距離が出ない
反発力がないために、ロッドの復元力を活かしてルアーを遠投させることができません。
小規模河川の渓流域でしたら、まったく影響はありませんが、オープンエリアで遠投したいときは・・・。
です。
●操作性が悪い
これも復元力の悪さによるもの。
復元力が悪いために、曲がったティップが元に戻るまでに時間が掛かりスピーディーにルアーを平打ちアクションさせれなかったり、しっかりとアクションさせるために強い力でトゥィッチさせなければ、ルアーまで力が伝達しない・・・。
よって、手首に負担が・・・。
これもショートロッド化すればするほど解決してくる悩み。
ショートロッド化しても、どうしてもカーボンロッドに比べてしまうと、大きな差は埋まりません。
グラスロッドの製作方法
前置きが大変長くなってしまいましたが・・・。
しっかりとグラス素材の特性を理解していただいた上で、ロッド製作に励んでいただきたいので。
渓流ルアー専用のグラスブランクス
今回は、新しくリリースする渓流専用のブランクスを使用し、グラスロッド製作のご紹介をしていきます。
今回使用するグラスブランクスは、キャストの際は、しっかりとしなり、ルアーアクションの際はバットの張りでしっかり操作できるように設計しました。
ブランクス単体で振ると、若干固く感じますが別売りのオールステンレスガイドセットを取り付けると、驚くほどアクションが変わります。
1,000mmのブランクとなっていますが、バット部分に外径Φ5.4の100mmストレート部分を設けております。
出来るだけ短く使用したい方は、100mmストレート部分をカットしてもアクションは崩れません。
900mmにカットしたブランクにフェルールを取り付け、235mmのグリップを取り付ければ、3ft7inほどのロッドに仕上がり、カットせずそのまま1000mmブランクにフェルールを取り付け、235mmのグリップを取り付ければ、4ftほどのロッドに仕上がります。
ガイドの取付け
元々自重があり、復元力のないグラス素材にチタン素材の【軽量】が生む恩恵はうけにくいので、オールステンレスガイドセットを使用してベイトロッドを製作します!
https://hitotokiworks.com/apps/note/products/%e6%b8%93%e6%b5%81%e3%83%99%e3%82%a4%e3%83%88%e3%83%95%e3%82%a3%e3%83%8d%e3%82%b9%e7%94%a8%e3%82%aa%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%82%b9%e3%83%86%e3%83%b3%e3%83%ac%e3%82%b9%e3%82%ac%e3%82%a4%e3%83%89%e3%82%bb/
トップガイドは、同じステンレス製のPLGST4.5-1.6が適合します。
スパインを出して、2液性エポキシボンドで接着。
その他のガイドもスレッド巻きで固定。
パープルのピンラインにブラックで巻いてみました。
ガイドの間隔は、900mmにカットして使用する場合は下記セッティングを参考にしてください。
●ベイト900mmセッティング
TOPG-1G:70mm
1G-2G:75mm
2G-3G:80mm
3G-4G:90mm
4G-5G:100mm
6G-7G:110mm
7G-8G:130mm
●スピニング900mmセッティング
TOPG-1G:70mm
1G-2G:75mm
2G-3G:80mm
3G-4G:90mm
4G-5G:95mm
6G-7G:100mm
7G-8G:120mm
1000mmそのままで使用する場合は下記の通りにセッティング。
●ベイト1000mmセッティング
TOPG-1G:70mm
1G-2G:75mm
2G-3G:80mm
3G-4G:90mm
4G-5G:100mm
6G-7G:120mm
7G-8G:140mm
●スピニング1000mmセッティング
TOPG-1G:70mm
1G-2G:75mm
2G-3G:80mm
3G-4G:90mm
4G-5G:100mm
6G-7G:110mm
7G-8G:130mm
グラス素材は、かなり曲がるため、曲がった時にラインがブランクスに干渉しないようスパイラルにセッティング!
※スピニングの場合は不要です。
右手で操作する人は右曲がりが良いのだそう・・・。詳しくは分かりませんが( ;∀;)
バットガイドは、リールのラインに合わせて真っ直ぐにセッティング。
その上の3つのガイドで180°均等に曲げていくように配置。
1個につき60°曲がる計算。
フェルールは、ブランク元部から35mm入り込むため、その部分をを除いたところに飾り巻きを入れてみました。
ただ、スレッド巻きするだけでも全く問題ないですよ!
見た目だけの問題ですから。
ちなみに、お客様が製作したグラスロッドの飾り巻き画像はコチラ。
自分は、ネームシールも貼ってロッドっぽく仕上げ。
あとはコーティングをして、アルミインナーフェルールの5.5mmを接着して終了です。
接着前の仮組で、ガタツキガ生じる場合は瞬間接着剤をブランクスの接着面に塗って、ティッシュではなく紙で拭き取る!を繰り返すと、瞬間接着剤の膜が何層にも形成することができます。
糸巻きするほどの隙間がない場合にお勧めな作業方法です。
本来は、コーティングモーターに掛けて、エポキシコーティングで仕上げますが、コーティングモーターを買うお金が・・・。
という方には下記のブログで紹介しているコーティング方法も検討してみてください。
仕上げは綺麗にいきませんが、実釣で使える程度で良い!!という方にお勧めなコーティング方法です。
グリップジョイントシステムは、グリップにロッドを差し込んだ時の『カチッ』という音を聞いた時、【銃に弾を入れてハンティングに向かうハンター】の気持ちに・・・
なる気がする(笑)
ガイドの巻き方やコーティング方法、フェルールの取り付け方法の詳しい説明は、下記の関連ブログを参考にください!!